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生命保険の年金払い。相続税と所得税の二重課税は×。
 FPオフィス Work Works. ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

 先週新聞やTVで話題になったこの件。
 訴訟を起こして最高裁で勝訴した長崎県の49歳の女性に拍手を送りたいと思います。

 多くの専門家が、長い間、あたり前のこととして対応してきた問題に疑問を投げかけ、裁判で争い、ついにはひっくり返してしまったのです。

 ご本人にとって、さほどの金銭的なメリットがあったとは思えません。しかし、最高裁判断のすぐあとには、財務大臣が過去にさかのぼって取り過ぎた税金を還付するとコメントを発表し、生命保険会社は多くの対象者に告知をするといいます。


 生命保険に加入していた夫(契約者・被保険者)が死亡して妻(保険金受取人)が生命保険金を受け取った場合、その保険金は相続税の課税対象になります。

 生命保険金は、ふつうに考えれば一括してまとめて受け取るのが一般的ですが、場合によっては年金形式にして、分割払いを選択することも可能です。

 たしかに、数千万円の保険金を一括でもらったところで、遺族が全額をすぐに使い切る訳ではないでしょう。
 分割払いでもらったほうが都合のいい方もいるでしょう。

 そんなことから、近年では、年金払いを前提とした死亡保険(収入保障保険)のほうが、保険料が安いので、人気があるくらいです。

 そして、死亡保険金の受け取り方に年金払いを選択した場合も、相続税の課税対象になります。
 この場合、相続時に受取人がお金を手にする訳ではありません。しかし、夫から「年金を受給する権利」を相続することになるのです。

 そのあと、妻は、実際に年金を受け取りはじめます。
 この年金は、雑所得として所得税の課税対象になります。

 これが、これまでのルール。

 つまり、まとめると、このタイプの生命保険の場合、年金受給権が相続税の対象になり、実際に受け取る年金は所得税の対象になる。

 いっぽう、所得税法には「相続、遺贈、または個人からの贈与により取得するものには所得税を課さない」と定められています。「相続税・贈与税と所得税は二重に課税しない」ということです。

 国税庁のこれまでの見解は、「受給権」と「現金(年金)」はまったく別物なので、それぞれに課税してもいい、同じものへの二重課税にはあたらないという立場でした。

 ところが、今回の最高裁の判断は、現金(年金)は、受給権から出てきたものなので、同じもの。したがって、二重課税にあたる。だから「所得税を課税したらダメ」という考え。

 最終的にはこの最高裁判断が結論になりました。


 年金受取タイプの死亡保険に加入している人はたくさんいるはず。その人たち全員に影響を与える結論です。

 この機会に、自分がどんな生命保険に入っているか、それだけでも確認をしてみてはいかがでしょう。


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